改訂新版 世界大百科事典 「リン(燐)銅ウラン石」の意味・わかりやすい解説
リン(燐)銅ウラン石 (りんどうウランせき)
torbernite
トルバナイトともいう。ウランの二次鉱物中の主要グループであるウラン雲母族中の一種。組成Cu(UO2)2(PO4)2・8~12H2O。正方晶系。緑色透明~半透明。モース硬度2~2.5。比重3.3。四角板状の自形結晶の集合体または不定形の皮膜として,銅を含む各種ウラン鉱床の酸化帯にごく普通に産する。乾燥により結晶水の一部が失われてメタ相ができることはリン灰ウラン石の場合と同じ。酸に可溶。紫外線下でかすかに緑色蛍光を発するものが一部にあるが,大半は無反応。古くは銅ウラン鉱とも称したが,近縁種のヒ銅ウラン石zeunerite(組成Cu(UO2)2(AsO4)2・10~16H2O)との混同を避けるため,現在,正式名称としては使われていない。
執筆者:坂巻 幸雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報