ランゲル島保護区の自然生態系(読み)ランゲルとうほごくのしぜんせいたいけい

世界遺産詳解 の解説

ランゲルとうほごくのしぜんせいたいけい【ランゲル島保護区の自然生態系】

2004年に登録された世界遺産(自然遺産)。ランゲル島は東シベリア海、チュコト海の間にあるロシア領の島である。ロシア極東連邦管区のチュコト自治管区に属し、ロシアの最北東端、ロング海峡を挟んだ位置にある。この島の面積は7608km2で、アザラシレミングホッキョクグマの繁殖地として知られる一方、タイヘイヨウセイウチの生息数が世界最多で、絶滅の危機にある約100種類の渡り鳥の飛来地、繁殖地でもある。また、厳しい気候の中、417種の植物が自生し、島周辺の海域は、メキシコ沖からコククジラが回遊してくる。最後の氷期には、この島にはマンモスが生息していたが、シベリアなどの大陸にいたマンモスより小型だったことがわかっている。紀元前1700年頃に、最後のマンモスがこの島で原住民狩猟により捕らえられ、絶滅したと考えられている。1989年から1991年にかけて、紀元前2000年頃までのマンモスの牙、歯、骨が多数発見された。◇英名はNatural System of Wrangel Island Reserve

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

百科事典マイペディア の解説

ランゲル島保護区の自然生態系【ランゲルとうほごくのしぜんせいたいけい】

ロシア北東部にあるランゲル島,ヘラルド島およびその周辺海域に生息する動植物生態系のこと。氷河期にも凍結しなかったため独自の生態系を保持している。夏にはメキシコから回遊してきたコククジラや,アジア北アメリカからの渡り鳥の繁殖地として使われる。特に渡り鳥の中にはハクガンなど希少種絶滅危惧種が100種以上やってくる。この他,タイヘイヨウセイウチの生息数が世界最多で,ホッキョクグマも多く生息する。2004年世界自然遺産に登録。

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