日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ラムネ(Félicité Robert de Lamennais)
らむね
Félicité Robert de Lamennais
(1782―1854)
フランスの思想家。フランス革命後のカトリシズムに政治的自由主義を導入した。ブルターニュのサン・マロで生まれる。1816年司祭に叙階、『宗教無関心論』4巻(1817~1823)の刊行で爆発的な名声を得た。フランスにおける教皇権の制限を主張するガリカニズムを攻撃し、教皇権至上論(ウルトラモンタニズム)にたった。信仰と合一した「共同の理性」を主張、『未来』(ラブニール)誌を発刊(1830)してリベラルなキリスト教を鼓吹した。しかし、宗教と政治を混同したとして、教皇教書により再度告発破門された(1832、1834)。それ以後は教権の打倒を訴え、ローマ教会を捨てて「人類のキリスト教」を提唱、『哲学草案』(1840~1846年。公刊は1906年)を書きつつも、孤独のうちに死去した。
[池長 澄 2015年6月17日]
『岳野慶作訳『宗教無関心論(抄訳)』(1948・中央出版社)』▽『ラム・ネー著、松下和則訳『信者の言葉』(1948・創芸社)』▽『ラムネー著、田辺貞之助訳『民衆に与ふる書』(1949・創元社)』
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