ヨウ素-デンプン反応(読み)ヨウソデンプンハンノウ

化学辞典 第2版 「ヨウ素-デンプン反応」の解説

ヨウ素-デンプン反応
ヨウソデンプンハンノウ
iodo-starch reaction

デンプンヨウ素によって青紫色,あるいはそれに類似した色に着色する呈色反応をいう.この色は加熱により退色し,冷却すると再現する.この呈色はきわめて鋭敏であり,微量のデンプンまたはヨウ素の検出に利用される.その鋭敏さは,ヨウ素イオンの存在下,微酸性溶液においてもっともいちじるしく,10-5 mol 程度のヨウ素を検出できる.呈色の色調はデンプンの構造や分子量によって異なり,α-D-グルコース残基6個で1巻きのらせん構造をとるアミロースでは,その空間(約13 Å)に1分子のヨウ素が入り青色max 650 nm)を与える.枝分れ構造のいちじるしいアミロペクチン(平均鎖長約25単位)ではヨウ素との結合力が弱く赤紫色(λmax 540 nm),平均鎖長のもっと短いグリコーゲンでは赤褐色の複合体(λmax 460 nm)を形成する.グルコース連鎖の直鎖状の部分が6以下では呈色しない.ヨウ素の結合量は電圧滴定法などで求められ,純アミロースでは18~20 mg/100 mg,アミロペクチンでは1以下なので,この反応はアミロースの含量測定にも用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報