ヨウ素イオン(読み)ヨウソイオン

化学辞典 第2版 「ヨウ素イオン」の解説

ヨウ素イオン
ヨウソイオン
iodine ion

ヨウ素陽イオンとなったもの.I,I,Iがある.I は,pyなどが配列した [Ipy2] などはとても安定である.また In(n = 2,3),I42+ なども知られている.多くは不安定であるが,いくつかは結晶も得られており,構造も解明されている.【】 I:INO3,IClO4などが知られている.Ag塩(各硝酸塩,過塩素酸塩)とヨウ素とをエタノール中で反応させると生成するが,いずれも不安定である.しかし,この反応でピリジンを加えると,[Ipy2]X(X = NO3,ClO4)を生じ,これらは安定で,固体としても得られる.なお,ICN,ISCN,IN3なども得られるが,これらはむしろ共有結合性の化合物とみなされる.【】 I:たとえば,I(ClO4)3は,I2 に計算量のAgClO4を加えるか,無水のHClO4に I2 と O3 とを反応させると生じる.二水和物も得られる.そのほか,I(NO3)3,I(IO3)3,I(CH3CO2)3,IPO4なども,それぞれの酸と I2 との反応で得られ,共有結合性のI(SCN)3も得られている.I(CH3CO2)3は,I2 を無水酢酸中で硝酸で酸化すると得られる.【】 In:(1)I2フルオロ硫酸発煙硫酸に I2 を溶かすと青色を示し,常磁性である.
(2)I3;たとえば,発煙硫酸中でKIO3と I2 との反応で I3 が生成する.I3[AlCl4]は固体も得られるが,そのなかで I3 は,∠I-I-I約97°の折れ線形である.
(3)I42+;I2 のHSO3F溶液を冷却すると生じ,赤色で,反磁性である.
(4)I5;I5(SbF6)などの結晶としても得られるが,I5 の5個のIはほぼ同一平面上で一列につながり,第2と第4のIでほぼ直角に曲がっている(第2,3,4のIはほぼ一直線上).

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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