ユーディット(読み)ゆーでぃっと(英語表記)Judith

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユーディット」の意味・わかりやすい解説

ユーディット
ゆーでぃっと
Judith

ドイツの劇作家ヘッベルの処女作。五幕悲劇。1840年初演。尊敬するシラーの『オルレアンの乙女』(1801)の祖国愛と敵将への愛との相克という主題に刺激を受け、『旧約聖書』外典の「ユディト書」を材料に、近代女性の自我の目覚めの問題を盛り込んだ作品。美女ユーディットは、バビロニアの梟雄(きょうゆう)ホロフェルネスの軍勢に包囲された故郷の地ベトゥーリアを救うべく敵陣に乗り込む。彼女は神のお告げの実現と思い込んでいたが、敵将の寝首をかいたあと、真の動機は自分の秘められた情欲と、自分の誇りを傷つけた男への復讐(ふくしゅう)であったと思い知らされ、自我の深淵(しんえん)の前に立ちすくむ。

[谷口 茂]

『吹田順助訳『ユーディット』(1932・春陽堂)』

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デジタル大辞泉 「ユーディット」の意味・読み・例文・類語

ユーディット(〈ドイツ〉Judith)

ヘッベルの処女戯曲。5幕の悲劇。旧約聖書外典のユディト書を題材とする。1840年初演。

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