日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ユダ(イスカリオテのユダ)
ゆだ
Judas 英語
Ioúdas (Iskaritēs) ギリシア語
師イエスを裏切った弟子。『新約聖書』によれば、「イスカリオテ」は彼もしくは彼の父シモンのあだ名であった(「マルコ伝福音(ふくいん)書」3章19節、14章10節、「ヨハネ伝福音書」6章71節、12章4節、13章2、26節)。そして「イスカリオテ」の意味については、「カリオテの人」の意でこのユダがガリラヤ出身でないことの銘記であるとか、ギリシア語のsikários(刺客)に由来するとか、諸説あり、その意味はかならずしも明らかでない。ユダは、奴隷1人の値段銀30枚でイエスを売り(「マタイ伝福音書」26章15節)、信頼の証(あかし)ともいうべき接吻(せっぷん)をもってイエスを裏切り(「マタイ伝福音書」26章49節、「マルコ伝福音書」14章45節、「ルカ伝福音書」22章48節)、そのあげくに自ら首を吊(つ)って果てた(「マタイ伝福音書」27章5節)。
[定形日佐雄]