ヤマトシジミ(チョウ)(読み)やまとしじみ(英語表記)pale grass blue

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマトシジミ(チョウ)」の意味・わかりやすい解説

ヤマトシジミ(チョウ)
やまとしじみ / 大和小灰蝶
pale grass blue
[学] Zizeeria maha

昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。岩手県・秋田県以南の日本全土(南西諸島を含む)に広く分布する普通種。都市内の庭先でもみることが多い。本種が人為的環境に多いのは、食草のカタバミがそのような場所に生育するためである。その反面深山や自然度の高い環境には生息しない。国外では朝鮮半島(南部)、中国、台湾よりミャンマービルマ)、タイ、インド、南ペルシアなどに分布する。はねの開張は27ミリメートル程度。雄のはねの表面は青藍(せいらん)色、雌では黒褐色、低温期に発生する雌では黒褐色の地に青藍色鱗を交える。西南日本では4月より出現し、以後連続的に発生を繰り返し11月または12月に及ぶが、夏より秋にかけてもっとも個体数が多い。幼虫の食草はカタバミ科のカタバミ、エゾタチカタバミである。また、帰化植物ムラサキカタバミにも産卵するが、この植物では幼虫は成虫にまで生育できない。

白水 隆]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例