ヤシャルケマル(英語表記)Yaşar Kemal

改訂新版 世界大百科事典 「ヤシャルケマル」の意味・わかりやすい解説

ヤシャル・ケマル
Yaşar Kemal
生没年:1923-

現代トルコ文学を代表する作家。アナトリア南東部アダナ地方の農村に生まれ,種々の職業を遍歴したのちイスタンブールに出て文筆活動を始め,自由契約の記者として優れたルポルタージュを発表した。1955年《やせっぽちのメメット》をもって文壇に登場し,社会派作家のリーダーとして,政治活動にも参加した。その作風社会主義リアリズムとトルコ民衆文学の伝統を結合させ,平易な文体が特徴的である。
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世界大百科事典(旧版)内のヤシャルケマルの言及

【トルコ文学】より


[トルコ共和国時代(1923以降)]
 ケマル・アタチュルクによるラテン文字採用(1928)と言語改革は,トルコ文学の進路に決定的な方向を与え,多くの詩人・作家が真の国民文学をめざして活動している。詩人では自由詩を開拓したナズム・ヒクメトとオルハン・ベリ・カヌク(1914‐50),独創的な詩風に近代の不安をただよわすファジル・ダアラルジャ(1912‐ )が傑出しており,作家には短編小説の名手サイト・ファイク・アバシヤヌク(1907‐54),ナスレッディン・ホジャを思わせる風刺作家アジズ・ネシン(1915‐95),農民文学の開拓者オルハン・ケマル(1914‐70),同じく農村を舞台に民衆叙事詩の伝統を生かした《インジェ・メメット》その他の作品で,現代トルコ文学を代表するヤシャル・ケマルYaşar Kemal(1922‐ )がいる。現代トルコ文学に共通する特徴は,現実の政治・社会に対する強い関心と,作品を介しての思想表明であり,芸術至上的な傾向は目だたない。…

【トルコ文学】より


[トルコ共和国時代(1923以降)]
 ケマル・アタチュルクによるラテン文字採用(1928)と言語改革は,トルコ文学の進路に決定的な方向を与え,多くの詩人・作家が真の国民文学をめざして活動している。詩人では自由詩を開拓したナズム・ヒクメトとオルハン・ベリ・カヌク(1914‐50),独創的な詩風に近代の不安をただよわすファジル・ダアラルジャ(1912‐ )が傑出しており,作家には短編小説の名手サイト・ファイク・アバシヤヌク(1907‐54),ナスレッディン・ホジャを思わせる風刺作家アジズ・ネシン(1915‐95),農民文学の開拓者オルハン・ケマル(1914‐70),同じく農村を舞台に民衆叙事詩の伝統を生かした《インジェ・メメット》その他の作品で,現代トルコ文学を代表するヤシャル・ケマルYaşar Kemal(1922‐ )がいる。現代トルコ文学に共通する特徴は,現実の政治・社会に対する強い関心と,作品を介しての思想表明であり,芸術至上的な傾向は目だたない。…

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