モヨウタツウミヘビ(読み)もようたつうみへび(英語表記)stargazer snake eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モヨウタツウミヘビ」の意味・わかりやすい解説

モヨウタツウミヘビ
もようたつうみへび / 模様龍海蛇
stargazer snake eel
[学] Brachysomophis cirrocheilos

硬骨魚綱ウナギ目ウミヘビ科に属する海水魚。高知県西部、愛媛県西部、台湾南部、インドネシア、紅海、オーストラリアなどインド洋・西太平洋に分布する。体は頑丈で、伸長する。横断面が躯幹(くかん)部(胴部)ではおよそ三角形で、尾部では円形。頭長は全長の11~14%、尾部は51~58%。頭の中央部より前の頭頂は平たい。吻(ふん)は短くて、縦扁(じゅうへん)し、吻端と尾端はとがる。前鼻孔(ぜんびこう)は短い管状で、吻の下面にあり、後鼻孔は目の前に位置する上唇の縁の下側に開孔する。目は小さく、上顎(じょうがく)の前3分の1に位置し、いくぶん上を向く。口は大きく、口裂の後端は目をはるかに越えて後方に伸びる。上下両唇は顕著な触鬚(しょくしゅ)(ひげ状の突起)で縁どられる。下顎前端は上顎前端を越えて前方に伸びる。上下両顎に2列の歯が並び、外列歯は犬歯状。上顎の前端の歯は口を閉じると見えない。鋤骨歯(じょこつし)(頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯)は両顎の外列歯より大きく、6本の犬歯が1列に並ぶ。頭部の感覚孔はかすかに認められるが、側線孔ははっきりしない。鰓孔(さいこう)は胸びれ基底の前方に開く。背びれは胸びれの後端よりかなり後方から、臀(しり)びれは肛門(こうもん)の後ろから始まり、尾端のすこし前で終わる。胸びれは大きい。尾びれ腹びれはない。体の背方は淡色~淡黄褐色で、大きな不規則な暗褐色斑紋(はんもん)や斜めに走る多数の小さい暗色の点列がある。体の腹面は淡黄白色。各ひれは黄色で、縁辺は褐色。最大体長は159センチメートル。水深1~10メートルのサンゴ礁近くの砂底や泥底に潜入し、日中は頭だけを出して、餌(えさ)の小魚甲殻類を待つ。頭の上に、共生関係にある掃除エビのオドリカクレエビPericlimenes magnificusがいるのが観察されている。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例