メリト酸(読み)メリトサン

化学辞典 第2版 「メリト酸」の解説

メリト酸
メリトサン
mellitic acid

benzenehexacarboxylic acid.C12H6O12(342.17).木炭黒鉛硝酸酸化するか,またはヘキサメチルベンゼンを酸化するなどの方法で得られる.結晶.分解点286~288 ℃.水,エタノールに易溶.塩化アセチルなどで脱水すると無水メリト酸を生じる.蒸留すると脱炭酸を伴い無水ピロメリト酸に,炭酸カルシウムと加熱するとトリメシン酸に分解する.みつろう石はメリト酸のアルミニウム塩Al2C12O12・18H2Oである.[CAS 517-60-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メリト酸」の意味・わかりやすい解説

メリト酸
メリトさん
mellitic acid

ベンゼンヘキサカルボン酸のこと。化学式 C6(COOH)6ベンゼンの6個の水素原子が6個のカルボキシル基で置換された構造の六塩基酸。黒鉛や木炭を硝酸中で加熱酸化すると生成する。針状晶。融点 286~288℃ (分解) 。

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世界大百科事典 第2版 「メリト酸」の意味・わかりやすい解説

メリトさん【メリト酸 mellitic acid】

ベンゼンの6個の水素原子がすべてカルボキシル基で置換された構造をもつベンゼンヘキサカルボン酸のこと。天然には,アルミニウム塩の形で褐炭層中の蜜蠟石melliteとして存在する。融点285~287℃の絹のような針状晶。水,エチルアルコールに可溶。蒸留すると無水ピロメリト酸と二酸化炭素に分解し,塩化アセチルや塩化ベンゾイルと熱すると無水メリト酸になる。(化学式)木炭や黒鉛を硝酸で酸化すると得られる。【井畑 敏一】

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