ムサシトミヨ(読み)むさしとみよ(英語表記)Musashi ninespine stickleback

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムサシトミヨ」の意味・わかりやすい解説

ムサシトミヨ
むさしとみよ / 武蔵富魚
Musashi ninespine stickleback
[学] Pungitius sp.

硬骨魚綱トゲウオ目トゲウオ科に属する淡水魚背びれに8~9本の棘(とげ)がある。4~7枚の鱗(うろこ)板が尾柄(びへい)部にある。体は暗緑色で、側面暗色斑紋(はんもん)が散在する。湧き水から出る細い小川や池にすむ。東京都西部や埼玉県の各地生息していたが、現在は埼玉県熊谷市の元荒川上流にのみ生息が確認され、活発に保全活動がなされている。埼玉県指定の天然記念物に指定され、保護されている。環境省のレッド・リスト(2013)では、近い将来野生絶滅の危険性がきわめて高い、絶滅危惧ⅠA類に指定されている。

[尼岡邦夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムサシトミヨ」の意味・わかりやすい解説

ムサシトミヨ
Pungitius sp.

トゲウオ目トゲウオ科の淡水魚。全長 5cmになる。体は細長く側扁する。背鰭に 8~9本のとげ,尾柄に 4~7枚の鱗板がある。かつては東京都中西部と埼玉県内の各地にいたが,今日では埼玉県熊谷市内のみに生息する。絶滅危惧種一つで,埼玉県指定の天然記念物になっている。学名はまだ発表されていない。

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世界大百科事典(旧版)内のムサシトミヨの言及

【トゲウオ(棘魚)】より

…日本産のトミヨ属には数種があり,いずれも淡水型である。その中で,イバラトミヨP.pungitiusは本州北部から北方に,トミヨP.sinensis(イラスト)は石川県以北からカムチャツカおよび大陸東岸に,エゾトミヨP.tymensisは北海道,サハリンおよび朝鮮半島北部に,またムサシトミヨP.sp.は埼玉,栃木の2県下にそれぞれ生息する。なお,イトヨとイバラトミヨは北アメリカやヨーロッパにも分布する。…

※「ムサシトミヨ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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