ミヤマシグレ(英語表記)Viburnum urceolatum var. procumbens

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミヤマシグレ」の意味・わかりやすい解説

ミヤマシグレ
Viburnum urceolatum var. procumbens

スイカズラ科の落葉低木。福島県以南の本州に分布し,山地の林下に普通に生える。茎の下部は横に寝て長く地をはい,ところどころに根を出す。直立する枝は高さ 1m前後となり,葉は対生し,長さ6~10cmの長卵形で先端はとがり,縁に微細な鋸歯がある。上面に光沢があり無毛で,下面の脈上に星状毛がある。葉は乾燥すると黒くなり,秋に美しく紅葉する。夏,短枝の先に散房花序をなして白色小花を多数つける。花冠は長さ3~4mmの短い筒状で,先は浅く5片に割れる。5本あるおしべは花冠の中につき,長く突き出る。果実広楕円形核果初秋に黒く熟する。本種の母種とされるヤマシグレ V. urceolatumは西日本の山地に生じ,茎は直立して高さ1~2mとなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミヤマシグレ」の意味・わかりやすい解説

ミヤマシグレ
みやましぐれ
[学] Viburnum urceolatum Sieb. et Zucc. f. procumbens (Nakai) Hara

スイカズラ科(APG分類:ガマズミ科)の落葉低木。茎は高さ1メートル以下で、下部は横にはう。花期は7月で、花冠は筒状。福島県以西の本州に分布する。基本種のヤマシグレは、茎は基部から立ち上がり、中部地方以西の本州から九州に分布する。名は、ミヤマ深山)シブレがなまったもので、シブレはガマズミと同じ意味という。

[福岡誠行 2021年12月14日]

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世界大百科事典(旧版)内のミヤマシグレの言及

【ガマズミ】より

…ゴマギV.sieboldii Miq.(イラスト)は葉をもむとゴマに似た強い臭気がある。ミヤマシグレV.urceolatum Sieb.et Zucc.var.procumbens Nakai(イラスト)は高さ1m以下の小低木で,茎の下部は横にはう。カンボクV.opulus var.calvescens (Rehder) Hara(イラスト)は葉が3中裂し,装飾花がある。…

※「ミヤマシグレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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