日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ミトラ(メキシコの遺跡)
みとら
Mitla
メキシコのオアハカ盆地にある遺跡。古典期(300ころ~900ころ)から後古典期(900ころ以降)のもの。モンテ・アルバンと並んでサポテカ文化の代表的な遺跡の一つである。今日同名の町が遺跡を囲んでいるので、本来の大きさなどは不明。現在保存されているのは宮殿とよばれる建物で、約30メートル四方の正方形の広場を囲んでいる。壁面は雷文、菱(ひし)形、波状渦巻などのモザイク装飾を施してある。円柱の間は38×7メートルの長方形で、内部中央に6本の円柱が立つ。古典期から後古典期にかけて、ミトラはサポテカ社会の宗教的中心地で、地下の神を祀(まつ)る所と考えられている。
[大貫良夫]