マートゥリーディー(読み)まーとぅりーでぃー(英語表記)al-Māturīdī

世界大百科事典 第2版 「マートゥリーディー」の意味・わかりやすい解説

マートゥリーディー【al‐Māturīdī】

?‐944
イスラム神学者アシュアリー派とともにスンナ派神学を代表するマートゥリーディー派の祖。生涯についてはあまり知られていない。マー・ワラー・アンナフルで活躍し,サマルカンドで没。この派の活動はおおむねこの地方に限定されている。神の絶対性を強調するアシュアリー派に対して,人間の理性を相対的にやや重視するのがおもな相違点である。【中村 広治郎】

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マートゥリーディー」の意味・わかりやすい解説

マートゥリーディー
まーとぅりーでぃー
al-Māturīdī
(?―944)

イスラムの神学者。中央アジアのサマルカンド近郊に生まれる。生涯についてはあまり知られていない。同時代の神学者アシュアリーと同じく、ムゥタジラ神学を批判しながら今日のスンニー派イスラム神学の基礎を築いた。中央アジアで活躍し、そこにマートゥリーディー派とよばれる神学派を形成した。人間の行為における自由意志を認めたりする点で、アシュアリーとは対立する。主著に『タウヒード論』がある。

[松本耿郎 2018年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ボソン

ボース統計に従う粒子。ボース粒子ともいう。スピンが整数の素粒子や複合粒子はボソンであり,光子,すべての中間子,および偶数個の核子からなる原子核などがその例である。またフォノンやプラズモンのような準粒子...

ボソンの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android