マルク州(読み)マルク(英語表記)Maluku

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルク州」の意味・わかりやすい解説

マルク〔州〕
マルク
Maluku

インドネシア東部,マルク諸島南部を占める州。600以上の島々を擁する。おもな島はセラム島ブル島アンボン島バンダ諸島,ウェタル島,ババル島,タニンバル諸島カイ諸島アル諸島など。バンダ海に囲まれ,北と東はセラム海を挟んでそれぞれマルクウタラ州パプアバラット州に接する。南にはアラフラ海ティモール海東ティモールがあり,西はバンダ海を挟んでスラウェシトゥンガラ州スラウェシトゥンガ州に接する。州都アンボン。1999年マルク諸島北部がマルクウタラ州として分離した。サンゴ礁に囲まれ,小さな環礁から山がちの大きな島まであり,火山島も多い。山の傾斜地は常緑樹林で覆われ,海岸はマングローブ沼地が広がる。ミツスイカワセミなど多くの鳥類や,オポッサムジャコウネコなどの生息地。農業が主産業で,米,トウモロコシ,ココナッツ,香辛料などが生産される。木材,カヤプト油ダンマルなどの林産品や魚介類が重要な輸出品。セラム島では石油を産出。州内の交通手段はおもに船に頼っている。インドネシアの西部の州に比べると人口は少なく,小さな島の多くは無人島。マレー人アンボン島民などのほか,さまざまな少数民族が居住し,イスラム教徒キリスト教徒で占められる。オランダ植民地時代に軍に参加した南マルクのキリスト教徒には親オランダ派が多く,インドネシア独立後は南マルク共和国の分離独立運動を展開,1970年代まで一部の過激派はオランダで活動し,20世紀の終わりにも数千人の犠牲者と多数の難民を出す衝突を起こした。面積 4万6914km2。人口 153万3506(2010)。

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