マリ・エル(読み)まりえる(英語表記)Марий Эл/Mariy El

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリ・エル」の意味・わかりやすい解説

マリ・エル
まりえる
Марий Эл/Mariy El

ロシア西部にある共和国。社会主義時代はマリ自治ソビエト社会主義共和国Марийская АССР /Mariyskaya ASSRと称したが、ソ連崩壊(1991年12月)前年の1990年にマリ・エル共和国Республика Марий Эл/Respublika Mariy Elとなった。面積2万3200平方キロメートル、人口76万1000(1999)。首都ヨシカル・オラボルガ川中流域に位置する。丘陵、平原地帯で、森林が50%以上を占める。フィン・ウゴル語派に属するマリ人の国で、住民はマリ人が43.3%を占め、ロシア人が47.5%である。ほかにタタール人(5.9%)などが住む(1989)。主要工業は木材製紙、機械(電気機械)、食品工業である。住民の37.7%(1996)が農村に居住し、ライ麦エンバク亜麻(あま)、ジャガイモ栽培と畜産が盛んである。交通はボルガ川の水運カザンから首都に通じる鉄道、首都から放射状に走る自動車道が主である。

[中村泰三]

歴史

マリ民族の形成は5~10世紀のことと考えられる。マリ人はしばらくボルガ・カマ・ブルガール人の影響下にあったが、1230年代からモンゴル・タタール、ついでカザン・ハン国支配を受け、16世紀中葉からロシア国家の版図に入った。彼らはツァーリ政府にヤサーク貢租)支払いの義務を負った。17~18世紀ボロトニコフラージンプガチョフの乱に参加、徹底的に鎮圧された。十月革命後の1920年11月自治州が形成され、36年12月自治共和国に昇格。90年に共和国を宣言改称した。

[栗生沢猛夫]

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百科事典マイペディア 「マリ・エル」の意味・わかりやすい解説

マリ・エル

ロシア連邦の一共和国で,ボルガ川中流域北側にあり,面積2万3200km2。主都ヨシカル・オラ。人口69万8200人(2010)中,マリ人43%,ロシア人48%。ほぼ同数のマリ人が東隣のバシコルトスタンなどに住む。ソ連時代に工業化とともにロシア人などの流入と都市化がすすみ,マリ人の母語率も80%に低下。マリ自治共和国(1936年成立)が1992年共和国を宣言,改称。マリ民族文化復興運動が起こっている。

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