マネキン(英語表記)mannequin

翻訳|mannequin

精選版 日本国語大辞典 「マネキン」の意味・読み・例文・類語

マネキン

〘名〙 (mannequin)
① 衣料品店などで、衣服・帽子などを着せて陳列する等身大の人形。マネキン人形。マヌカン
真理の春(1930)〈細田民樹〉森井コンツェルン「マネキン眺めて驚いた。まるで人間そっくりだ」
② 衣服・化粧品などを着たりつけたりして、その製品を宣伝・販売する女性。マネキンガール。マネキン嬢。
暢気眼鏡(1933)〈尾崎一雄〉六「マネキンなどと美貌元手の為事」

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デジタル大辞泉 「マネキン」の意味・読み・例文・類語

マネキン(mannequin)

流行服などを着せて店に並べる等身大の人形。マネキン人形。
服飾品や化粧品などを自分で使って人に見せ、その品を宣伝する売り子。マネキンガール。マヌカン。
[類語]縫いぐるみ人形こけし

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改訂新版 世界大百科事典 「マネキン」の意味・わかりやすい解説

マネキン
mannequin

衣料品の展示・販売の目的で使用する人形。フランス語風にマヌカンと呼ぶと,ファッションモデルや絵のモデルを指す。最古のマネキンとされているのは,前1350年代エジプト王の墓に埋蔵された等身大の木製人形で,衣装作成用人台といわれている。衣服着装用マネキンは,14世紀パリのミニチュアマネキンに始まり,15世紀には等身大のろう製人形が衣服の展示・販売のほか,見世物人形としても使われた。17~18世紀にはフランスでファッションドールの創作が盛んに行われ,海外にも輸出されている。本格的にマネキンが使用されるのは,1925年パリ万国博で衣装陳列人形が展示されてからである。日本では,木くずで作られた菊人形のような生人形(いきにんぎよう)が和装マネキンとして,1894年下谷の川越呉服店で用いられている。洋装マネキンは,島津良蔵によって1925年に企業化が始められた。このころのマネキンはろう製で,これは熱などにより変形しやすいうえ,高価であった。そのため,28年に日本独自のファイバー和紙をのりで固めたもの)製が開発されると市場は一変し,59年FRP(強化プラスチック)製のマネキンが実用化されるまでの一時代を築く。ファイバー製のマネキンの髪は人毛を植え付けるか,髪型を造形して彩色している。60-65年を境に,着せるマネキンから売場や店舗全体を引き立たせるマネキンへと変化する。それに伴い,素材はFRP製のボディ,塩化ビニル手先化学繊維のブロンドのかつら,形態は現実に近い乳房や手先,自然な皮膚の色となる。1934年東京の三越では,フランスから輸入した約20体を使用し,1体1000円もしたという。同店で現在は約1000体を使用している。マネキン製作はまず粘土による原型作りから始まるが,そのサイズは衣服を着用させる肩からひざまでを標準寸法で作り,首や足は少し長めに作る。顔は実在人物をモデルにイメージ表現するが,頭はやや小さめに作るため9頭身に近くなっている。現在ほとんどがレンタル方式で利用されている。一つの型での生産数は平均300~400体で,借手の要求に従い,1~3ヵ月の単位で色や表情を変え,改造して,平均3~4年使用する。全身マネキン生産量は約15万体で,これは新作と補充改造の合計である(日本マネキンディスプレイ協会1982年調べ)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マネキン」の意味・わかりやすい解説

マネキン
まねきん
mannequin 英語
mannequin フランス語

フランス語ではマヌカンといい、(1)美術、医学用の人体模型、(2)服をかける人台、(3)ドレススタンド、(4)マネキン人形、(5)ファッション・モデル、などの意味がある。日本では、大正の初め、ファッション・モデルのグループとしてマネキンクラブの名が用いられたが、これは、当時モデルといえばヌードを意味するのを嫌ってのことという。昭和に入ってからは、新商品の宣伝販売にデパートに派遣される女子店員をマネキンガールといい、当時の流行語となった。今日では、デパート、スーパー、展示場などへの販売スタッフやデモンストレーターを派遣する組織をマネキン紹介所といい、厚生労働大臣の許可を受けて求人・求職を斡旋(あっせん)している。

[小川乃倫子]

 マネキンは普通、衣装用のマネキン人形をさしており、動くマネキンのほうは、ファッション・モデル、あるいはマヌカンの語が使われる。現在のような職業人としてのモデルが登場したのは20世紀初めのことで、パリのクチュリエ、ポール・ポワレPaul Poiret(1879―1944)が専属のモデルを連れて各地でショーを開いたのが最初である。

[辻ますみ]

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百科事典マイペディア 「マネキン」の意味・わかりやすい解説

マネキン

人体模型。特に販売宣伝のため衣服や帽子などをつけて店頭に飾る人形をいう。最古のものは古代エジプト王墓に埋蔵された木製人形といわれる。衣服を着せたものは14世紀のパリでミニュチュアマネキンとして登場し,15世紀には等身大のろう人形がマネキンとして用いられた。本格的に使用されはじめたのは1925年のパリ万国博からである。日本では1894年木くずで作られた生(いき)人形が和製マネキンとして用いられ,洋装マネキンは1925年島津良蔵がろう人形として作った。1928年日本独自の和紙をのりで固めたファイバー製のマネキンが登場し,一気に普及した。1960年代以降は,ボディは強化プラスチックや塩化ビニルで作られ,頭髪は化学繊維で作られる。またファッション・モデルや化粧品のモデル,さらには商品説明販売員などもマネキンというが,ファッション・モデルの場合はマネキン・ガールとかフランス語読みでマヌカンと呼ぶことも多い。

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とっさの日本語便利帳 「マネキン」の解説

マネキン

人形ではなくて販売員。百貨店などの販売員には正社員、派遣店員、マネキンの三種類があり、マネキンはアパレルや食品、呉服などの専門に特化した、販売と宣伝のプロ。ちなみにマネキンのフランス語読みがマヌカン。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マネキン」の意味・わかりやすい解説

マネキン

マヌカン」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のマネキンの言及

【ファッション・ショー】より

…それ以前はスタイル画を展示したり,人形に衣服を着せて展示したりしていた。ワースは新作の服を妻に着せ,競馬場や公園,避暑地,劇場などを歩かせて披露し,ファッション・モデル(フランス語ではマヌカンmannequin)の基をつくった。 日本で初めてファッション・ショーの名で行われた催しは1927年9月の三越染織逸品会で,30年には上野松坂屋,34年には資生堂がビューティ・ファッション・ショーを開いた。…

※「マネキン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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