マダックス(読み)まだっくす(英語表記)Gregory Alan Maddux

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マダックス」の意味・わかりやすい解説

マダックス
まだっくす
Gregory Alan Maddux
(1966― )

アメリカのプロ野球選手(右投右打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のシカゴ・カブスアトランタ・ブレーブス投手としてプレー。「精密機械」とよばれるほど正確無比なコントロールを誇り、4年連続してサイヤング賞(最優秀投手賞のこと)を受賞した「1990年代最高の投手」である。

 4月14日、テキサス州サン・アンジェロで生まれる。バリー高から1984年、ドラフト2巡目指名を受けてカブス入団。1986年に大リーグ初昇格を果たしたが2勝4敗、87年も6勝14敗と負け越して大リーグに定着はできなかった。1988年に18勝8敗の好成績をあげて頭角を現し、以降2004年まで、17年連続して15勝以上をマークした。1992年に初の20勝で最多勝となり、サイ・ヤング賞を受賞した。そのシーズンオフ、FAフリーエージェント)でブレーブスに移籍、1993年は最優秀防御率、94年と95年は最多勝と最優秀防御率の二冠王となり、いずれもサイ・ヤング賞に選ばれた。これで同賞の受賞は4年連続となった。なかでも1995年は19勝2敗、防御率1.63、投球回数209と3分の2で四球23という抜群の内容で、ワールド・シリーズ優勝に貢献した。トム・グラビンThomas Michael Glavine(1966― )、ジョン・スモルツにこのマダックスを加えたブレーブスは強力な投手陣を形成し、1991年から始まった連続地区優勝を2005年まで伸ばす原動力となった(ストライキでシーズンが打ち切りとなった1994年は優勝チームなしのため除外)。1998年にも最優秀防御率を獲得。2001年には、72と3分の1回連続無四球のナショナル・リーグ新記録を樹立した。2004年2月にFAで古巣カブスに復帰し、同年には史上22人目の300勝を達成、さらに大リーグ新記録となる17年連続15勝をマークした。守備にも優れ、1990年から2002年まで13年連続してゴールドグラブ賞に選ばれ、2004年にも受賞した。

[山下 健]

2005年以降

2005年は13勝15敗と負け越したが、7月の対サンフランシスコ・ジャイアンツ戦で通算3000奪三振を達成。翌06年は22試合に先発登板、9勝11敗となった7月にロサンゼルス・ドジャースへ移籍した。ドジャースでは12試合6勝3敗で、2006年は15勝14敗でシーズンを終えた。2007年からはサンディエゴ・パドレスでプレー。14勝11敗の成績を残し、20年連続13勝以上を達成、サイ・ヤングがもっていた19年連続の大リーグ記録を更新した。また、2005年から07年まで3年連続ゴールドグラブ賞を受賞、通算17回目の受賞は大リーグ史上最多。

 2007年までの通算成績は、登板試合711、投球回4814と3分の1、347勝214敗、防御率3.11、奪三振3273、完投109、完封35。獲得したおもなタイトルは、最多勝利3回、最優秀防御率4回、サイ・ヤング賞4回、ゴールドグラブ賞17回。

[編集部]

『レオ・マゾーニー、ジム・ローゼンタール著、佐野之彦訳『マダックス・スタイル A guide for amateur pitchers and their coaches』(2001・ザ・マサダ)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例