ポリイソブチレン(読み)ぽりいそぶちれん(英語表記)polyisobutylene

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリイソブチレン」の意味・わかりやすい解説

ポリイソブチレン
ぽりいそぶちれん
polyisobutylene

イソブチレン(CH3)2C=CH2重合体ポリマー)の総称。ポリイソブテンpolyisobuteneともいう。高温で重合したものは重合度が低い。零下100℃近辺という低温で三フッ化ホウ素などのカチオン触媒で重合すると、分子量が10万以上の高重合体が得られる。

垣内 弘]

高分子量ポリイソブチレン

重合度1000以上。ゴム状固体であるが、重合体中に不飽和結合をもたないので化学的に安定。ゴム配合剤に用いられる。また、少量(約3%)のイソプレンと共重合させたものはブチルゴムとよばれる。

[垣内 弘]

中分子量ポリイソブチレン、低分子量イソブチレン

中分子量ポリイソブチレンは重合度は数百程度。粘い液体ないし半固体で、接着剤、シーラント、ワックスポリエチレンの改質剤などに用いられるほか、天然ゴムや合成ゴムに配合して耐老化性・耐オゾン性などの改善に用いるなど広い用途がある。低分子量ポリイソブチレンは重合度10程度。分子量500~1300程度の粘い液体。潤滑油または潤滑油の粘度調節剤として用いられる。

[垣内 弘]

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化学辞典 第2版 「ポリイソブチレン」の解説

ポリイソブチレン
ポリイソブチレン
polyisobutylene

一般式で表されるイソブテンの重合体.高温で重合したものは,重合度が低い粘ちゅう液体である.-100 ℃ に近い極度の低温下で,塩化アルミニウム三フッ化ホウ素などのカチオン触媒で重合すると数十万の分子量になり,ゴム状弾性([別用語参照]ゴム弾性)を示す.高重合体の用途は主として合成ゴムであり,分子中に不飽和結合をもたないため化学的に不活性で,オゾン,酸,アルカリなどに対する抵抗性が強い.また,ガスの透過性が小さいのが特徴である.一般に,加硫を容易にするため,少量のジエン類(主としてイソプレン)を共重合して用いる.高重合体はタイヤ用チューブとして,低重合体は防湿シールなどに使用されている.[CAS 9003-27-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報