ゴム弾性(読み)ゴムだんせい

精選版 日本国語大辞典 「ゴム弾性」の意味・読み・例文・類語

ゴム‐だんせい【ゴム弾性】

〘名〙 ゴムおよびゴム類似物質の示す特異な弾性金属などの通常固体にくらべ、常温でのヤング率の値は約一〇万分の一程度で伸びは数百パーセントに及び典型的な高弾性を示す。ゴム物質の鎖状分子熱運動によるもの。絶対温度上昇とともにヤング率が増加するのが特徴

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デジタル大辞泉 「ゴム弾性」の意味・読み・例文・類語

ゴム‐だんせい【ゴム弾性】

ゴムのように伸縮のよい性質。ゴムの鎖状分子の熱運動によって生ずる。

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化学辞典 第2版 「ゴム弾性」の解説

ゴム弾性
ゴムダンセイ
rubber elasticity

ゴムは金属やイオン結晶に比べて高弾性で,その弾性率は1 MPa 程度と小さい.この弾性がゴム弾性で,ゴムに限らずゴム状態にある高分子物質に広くみられるので,ゴム状弾性ともいわれる.その本性は,伸張によってエントロピーの小さい状態になったものが,エントロピーの大きい状態に戻ろうとする回復力である.これをエントロピー弾性という.しかし,すべてがエントロピー弾性であるわけではなく,弾性回復力の温度についての導関数を求める際,体積,長さを一定とみなすと,エントロピーからの寄与を得る.残りは内部エネルギーからの寄与で,これをエネルギー弾性という.エントロピー弾性のポテンシャルは,変形の小さいところではガウス分布の対数になり,長さの2乗に比例してフック弾性を示すが,エネルギー弾性のポテンシャルもフックの法則に従うので,そのことからエントロピー弾性であると結論するわけにはいかない.実験的には,あまり小さくない変形のところで,応力温度係数が負であることを用いる.すなわち,熱すると縮み,冷やすと伸びる.大きな変形を与えたときにも弾性を保つためには,分子が相互にすべらないように架橋されていなければならない.このため,一般にゴム製品製造には,架橋(加硫)操作を必要とする.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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