ホワントー(黄土)高原(読み)ホワントーこうげん(英語表記)Huangtu gaoyuan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホワントー(黄土)高原」の意味・わかりやすい解説

ホワントー(黄土)高原
ホワントーこうげん
Huangtu gaoyuan

中国北部にある黄土層に厚く覆われた高原。北は内モンゴル(蒙古)高原との境となる万里の長城,南はチンリン(秦嶺)山脈北麓のウェイ(渭)河平原に挟まれ,東はホワペイ(華北)平原との間をかぎるタイハン(太行)山脈,西はシーツァン(西蔵)高原(チベット高原)東縁のタオ(洮)河とウーチヤオ(烏鞘)嶺にいたる。面積は約 40万 km2。標高は 800~2000mで,2500mをこえる山峰もある。黄土層はモンゴル高原で形成された微砂や粘土が北西の季節風で運ばれて堆積したものといわれる。厚さは平均 50~80mであるが,カンスー(甘粛)省シェンシー(陝西)省ではところによって 150mにも及ぶ。微砂の含有が多く,炭酸カルシウムに富むため,流水によって容易に浸食される。またこの地域は中世以来,乱伐乱墾によって植生の破壊がはなはだしかった。これらの原因と 7~8月に集中する降雨によって,土壌流失がおびただしく,やせていて,水分を保持できない。比較的広く高原面の残る「げん」,尾根筋にのみ残る「りょう」,谷で細分された「もん」などの地形があり,垂直の谷壁をもった雨裂各地にみられる。大部分耕地は細分された傾斜地にあり,しばしば干魃洪水に見舞われる。また押し流された泥がホワン(黄)河に流入し,下流部に洪水を引き起こしてきた。人民共和国成立後,各地の人民公社によって,水と土壌の流失を防ぐために,植林貯水池と灌漑用水路の建設,段畑造成などが進められた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android