ホフマン(Roald Hoffmann)(読み)ほふまん(英語表記)Roald Hoffmann

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ホフマン(Roald Hoffmann)
ほふまん
Roald Hoffmann
(1937― )

アメリカの化学者。ポーランドのズウォツォフ(現、ウクライナのゾロチェフ)に生まれる。ナチスによってユダヤ人の両親とともに強制収容所(ゲットー)に送られたが脱走し、学校の屋根裏で生活した。1944年に解放され、1949年にアメリカに渡った。1958年にコロンビア大学を卒業、ハーバード大学に進学して化学を学び、1962年に博士号を取得した。1965年コーネル大学の準教授に就任、1968年教授となった。1990年に放送されたテレビの科学啓蒙番組『化学の世界』の制作に参加し、案内役として出演した。

 ホフマンは、ハーバード大学でウッドワード有機化学の応用理論について共同研究を行い、1965年に、有機化合物の反応において、反応に関与する分子軌道の間に対称性の保存されていることを発見した。この法則ウッドワード‐ホフマン則と名づけられ、化学反応のおこりやすさを理論的に予測することを可能にしたものとして高い評価を得た。また、同種概念福井謙一フロンティア電子理論として発表していた。1981年、化学反応過程に関する理論の発展に貢献したとして、福井とともにノーベル化学賞を受賞した。

[編集部 2019年1月21日]

『ホフマン著、小林宏他訳『固体と表面の理論化学』(1993・丸善)』

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