ホアハオ教(読み)ホアハオきょう

改訂新版 世界大百科事典 「ホアハオ教」の意味・わかりやすい解説

ホアハオ教 (ホアハオきょう)

ベトナム南部で創基された宗教の一つ。ホアハオ(和好仏教ともいう。教祖ヒン・フ・ソーHuynh Phu So(1919-?)の出生地チャドック省ホアハオHoa Hao村にちなんでこう命名されたが,ホアハオは博愛,平等,団結協調を説く同宗教の理念をも表している。立教は1939年5月。主として予言と治病活動に従い,短期間のうちにメコン・デルタの農民層の間に多数の信者を獲得した。のち南部一帯に広く行われていた仏教宗派〈宝山奇香〉派の継承権を引き継ぎ,宗教的な権威と信仰の基盤をゆるぎないものとした。最盛時の信者数は約200万。政治的な宗教団体として,過激な大衆運動を組織し,ベトナム南部人の利益の代弁者として排仏,反米反共,ならびに反南ベトナム政府の立場を貫いた。社会主義共和国への移行後,その宗教活動は停滞している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報