ペルシア湾
ぺるしあわん
Persian Gulf
南西アジアにある広大な湾。アラビア半島の北東岸とイランの南西岸によって画され、東端はホルムズ海峡を経てオマーン湾へと通じる。ペルシア語ではハリージェ・ファールスKhalīj-e Fārsといい、アラブ諸国はアラビア語で「アラビア湾」の意ハリージュ・アル・アラビーKhalīj al-‘Arabīを慣用する。長さ約900キロメートル、幅250~350キロメートル、面積約23万9000平方キロメートル。水深は最大170メートルに達するが、山地が海に迫っているイラン側が、砂浜の広がるアラビア半島側に比べて深い。北西端のシャッタル・アラブ川の河口付近には三角州の発達がみられる。水温は平均24℃、8月には32℃にも達し、表面塩分は平均約37、水域によっては約40を示す。湾岸にはイランのほか、イラク、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、カタールおよびアラブ首長国連邦がある。
古くから天然真珠の採取や漁業が営まれてきたが、20世紀に入ると湾岸や海底で相次いで油田が発見され、世界的な産油地帯として注目されるようになった。ラス・タヌラ(サウジアラビア)、ミナ・アル・アハマディ(クウェート)、ハル・アル・アマヤ(イラク)、ハールク島(イラン)などの石油積出し港がある。天然ガスの開発も進み、石油、天然ガスを原燃料とし、それらの販売、採掘利権料収入を資金とした工業化も湾岸各地で進んでいる。エビ、イワシ、マグロなどの水産資源も豊富。
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ペルシア湾【ペルシアわん】
アラブ諸国ではアラビア湾と呼ぶ。イランとアラビア半島に囲まれ,ホルムズ海峡によってアラビア海に接続している。長さ約912km,面積約23.8万km2で,きわめて浅く,最深部でも170mである。北端にはシャット・アルアラブ川が注ぎ,湾内はかつては天然真珠の採取が行われたが,現在は世界有数の石油生産地。また軍事戦略の上でも重要な地域。
→関連項目アラビア半島|インド洋|湾岸協力会議
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ペルシア‐わん【ペルシア湾】
アラビア半島とイランに囲まれた湾。インド洋の付属海で、ホルムズ海峡により、オマーン湾を経てアラビア海に連なる。湾岸および海底は石油・天然ガスに富む。
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デジタル大辞泉
「ペルシア湾」の意味・読み・例文・類語
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ペルシアわん【ペルシア湾 Persian Gulf】
イラン高原とアラビア半島との間にある湾。アラビア語でバフル・アルファーリスBaḥr al‐Fāris,あるいはハリージュ・アルアラビーKhalīj al‐‘Arabī(〈アラビア湾〉の意),ペルシア語でハリージェ・ファールスKhalīj‐e Fārsという。現在,湾岸にはイランのほかにアラブ系のイラク,クウェート,バーレーン,カタル,アラブ首長国連邦の諸国がある。現代においてはホルムズ海峡を境に東側をオマーン湾,西側をペルシア湾と呼んで区別しているが,10世紀のアラブの地理学者マスウーディーによると,当時のペルシア湾はオマーン湾を含む海域と考えられていた。
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