天然真珠(読み)てんねんしんじゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天然真珠」の意味・わかりやすい解説

天然真珠
てんねんしんじゅ

貝類に自然に形成される真珠のこと。貝殻内面真珠層を有する貝類に広く発生するが、実際には二枚貝類によるものがほとんどである。貝殻の内面に発生する貝付真珠と軟体部に生じる遊離真珠とがあり、前者からは半円真珠がつくられる。養殖真珠が発明されるまでは古くから宝玉として珍重された。成因は、核となる物質侵入、または陥入などの外的要因が多いが、化学的要因なども考えられ、複雑である。

[和田克彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の天然真珠の言及

【真珠】より

…アコヤガイなどの貝類の体内に,その貝殻と同質の炭酸カルシウムを主成分として形成された球状あるいは不定形の物質をいう。農水省では,(1)真珠養殖事業法にいう真珠とは,生きた真珠貝の中で球状または半球状(多少の変形を含む)に形成される代謝生産物であって,かつ,この外見しうる部分の主たる構成物質が,真珠貝の真珠層と等質であるものをいい(その内部に貝殻質から作られた核を含むか否かは関係ない),(2)この場合,真珠貝中におけるその形成契機に,まったく人為的な要因を含まないものを天然真珠といい,その契機を人為的に与えられるものを養殖真珠というと定めている。ここで真珠貝と称しているものは,真珠を作る貝を意味し,海産の貝ではアコヤガイ,クロチョウガイ,シロチョウガイ,マベ,アワビ,淡水産の貝ではイケチョウガイなどすでに産業に用いられている貝類をさしている。…

※「天然真珠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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