ペルオキソ炭酸塩(読み)ペルオキソタンサンエン

化学辞典 第2版 「ペルオキソ炭酸塩」の解説

ペルオキソ炭酸塩
ペルオキソタンサンエン
peroxocarbonate

】ペルオキソ一炭酸塩:M2CO4nH2O(M = Na,Kなど).たとえば,Na塩は,Na2O2とCO2との反応などで得られる.また工業的には,Na2CO3水溶液とH2O2からつくられる.Na塩;Na2CO4nH2O(構造は,Na2CO3・H2O2・(n-1)H2O)は無色の斜方晶系結晶で,2個の平面型のCO32-をH2O2水素結合で結んだ構造を含む.C-O約1.28~1.32 Å,O-O約1.49,1.51 Å.したがって,結晶水がH2O2に置換した一種の過酸化水素付加物(peroxyhydroxide)である.比較的不安定である.水に可溶.工業的にペルオキソ炭酸ナトリウムの名称で量産され,漂白剤などに利用される.【】ペルオキソ二炭酸塩:M2C2O6.たとえば,M = Naでは,テトラオキソペルオキソ二炭酸二ナトリウム,または,μ-ペルオキソビス(ジオキソ炭酸)(2-)ナトリウムという.K,Naなどの塩は,各炭酸塩水溶液にH2O2を反応させるか,低温で炭酸塩水溶液の電解酸化すると得られる.[O2C-O-O-CO2]2- を含む.
(1)K2C2O6(198.21).青緑色の粉末.乾燥状態ではある程度安定であるが,しだいに分解して O2 と炭酸塩になる.湿気で分解は促進される.水に可溶.溶液中でしだいに分解し,O2 を発生する(加熱で促進される).H2O2のように酸化・還元両方作用をする.以前は,顕微鏡検査の試薬,写真(残留ハイポの除去),化学分析などの酸化剤,なせんなどに用いられたが,いまではあまり用いられていない.[CAS 589-97-9] 
(2)Na2C2O6(166.00).黄橙色の粉末.水に可溶.分解して O2 を発生して炭酸塩にかわる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のペルオキソ炭酸塩の言及

【過酸化物】より

…過酸化物は強力な酸化剤であるが,H2O2などは過マンガン酸などのようにさらに強い酸化剤と反応するときにはむしろ還元剤として作用する。なお,ペルオキソクロム酸塩MI3CrO8(4個のO22-がCr(V)に配位した化合物),ペルオキソ炭酸塩MI2CO4(一般にMI2CO3aH2O2bH2Oの組成で与えられる),ペルオキソチタン酸塩H4TiO5(実はTiO3・2H2O)など多くの金属のペルオキソ酸塩も過酸化物と呼ばれることがある。また,過酸化ジアルキルR-O-O-R′や過酸化アシルRCO-O-O-COR′などのように,-O-O-結合を有する有機化合物も過酸化物と呼ばれる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」