日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘンリー(1世)」の意味・わかりやすい解説
ヘンリー(1世)
へんりー
Henry Ⅰ
(1068―1135)
イギリス王(在位1100~1135)。ノルマン朝を開いたウィリアム1世の四男。次兄ウィリアム2世の死後に即位。その戴冠(たいかん)式に善政を誓う自由憲章を発布した。十字軍より帰った長兄ロバートRobert(ノルマンディー公。1054?―1134)と争い、1106年タンシブレーで兄を破ってノルマンディー公領を併合した。フランスの攻勢に備えて娘マティルダMatilda(マティルド。1102―1167)を神聖ローマ皇帝ハインリヒ5世に嫁がせた。財務府を中心に中央政府を整え、四部法典を編纂(へんさん)させ、巡回裁判官を派遣して裁判行政を強化した。1120年王子ウィリアムを海難事故で失い、1125年にはハインリヒ5世が死んでマティルダが帰国。1128年にマティルダをアンジュー伯ジェフリーGeoffrey(ジョフロア。1113―1151)と再婚させたが、晩年は不幸であった。
[富沢霊岸 2022年12月12日]