ヘモグロビンA1c(読み)へもぐろびんえーわんしー(英語表記)Hemogloin A1c

知恵蔵 「ヘモグロビンA1c」の解説

ヘモグロビンA1c

糖尿病の診断・治療において血糖値に並ぶ重要な指標の一つで、採血直前の食事の影響を受けず過去およそ1~2カ月間の平均的な血糖レベルを推測することができる。ヘモグロビンAにグルコース(血糖)が結合したグリコヘモグロビン(糖化ヘモグロビン)の一種
日本糖尿病学会による糖尿病診断基準では、従来は、早朝空腹時血糖値、75グラム糖負荷試験の2時間値、随時血糖値の3つが用いられてきた。2010年7月からこれにHbA1c値を加え、6.5パーセント以上を示した場合は、その他3つを再検査して判定するとしている。
HbA1c値は、赤血球にあるヘモグロビンのうちグルコースと結びついているものがどのぐらいの割合で存在するかを示し、百分率で表示する。
日本では1990年代に独自に策定した測定基準によるJDS(Japan Diabates Society)値が広く用いられてきたが、測定機器の精度向上などにより国際標準であるNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値との開きが顕著となって、先の診断基準改定を機に学術論文NGSP値への統一が決まった。次いで2012年4月からは、一般の臨床においてもNGSP値へ完全移行している。ちなみに、JDS値はNGSP値より約0.4パーセント低い。
ただし、40歳以上の被保険者に実施されている特定健康診査では、12(平成24)年度中は従来のJDS値を用いてJDS値5.2パーセント以上を特定保健指導の対象とし、JDS値6.1パーセント以上を医療機関への受診勧奨の対象としている。13(平成25)年度以降の対応は、2012年4月時点ではまだ決まっていない。

(石川れい子  ライター / 2012年)

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栄養・生化学辞典 「ヘモグロビンA1c」の解説

ヘモグロビンA1c

 グリコシルヘモグロビン,グルコヘモグロビン,糖化ヘモグロビンともいい,ヘモグロビンAのβ鎖のN末端アミノ酸基にグルコールがシッフ塩基の形で共有結合しているもの.血中ヘモグロビンの5%程度を占める.糖尿病で増加するので,その指標となる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報