日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ヘッケル(Erich Heckel)
へっける
Erich Heckel
(1883―1970)
ドイツの画家、版画家。ザクセンのデーベルンに生まれ、ドレスデンで建築を学ぶが、同学のキルヒナー、シュミット・ロットルフとともに1905年「ブリュッケ」(橋派)を創立し、表現主義絵画の推進者となる。09年ローマに滞在後は主としてベルリンに住み、強烈な色彩と太い輪郭線による求心的な画面構成によって、サーカスの人々や自然の中の青年像などを描く。また同様な手法による内面表出を木版および石版画に託した。ナチスによって退廃芸術家の烙印(らくいん)を押され、44年以降ボーデン湖畔ヘンメンホーフェンに住み同地で没した。晩年は穏やかな風景と人物を描いた。遺作はベルリンのブリュッケ美術館にある。
[野村太郎]