日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フルトン(Hamish Fulton)
ふるとん
Hamish Fulton
(1946― )
イギリスの現代美術作家。ロンドン生まれ。1964年から69年にかけてハマースミス美術学校、セント・マーチン美術学校、王立美術学校に学ぶ。68年以来、ヨーロッパ、南・北アメリカ、メキシコ、インドなど世界各地を旅して、歩行を通じて自然と融合した心境を表現する作品を制作している。リチャード・ロングRichard Long(1945― )と同様に自己と大地とのかかわりを作品化しているが、フルトンの表現手段は、写真とテキストと素描に限られている。彼は「私の芸術は、自然界から人間を疎外する都市社会への穏やかな抗議である」と述べている。96年(平成8)和歌山県立近代美術館にて「紀伊半島を歩いて――ロジャー・アックリング&ハミッシュ・フルトン――」展が開催された。また2002年東京国立近代美術館にて開催の「未完の世紀:20世紀美術がのこすもの」展に、国立国際美術館所蔵の『サンライズ・シャドウ』(1979)が出品された。
[斉藤泰嘉]
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