フリー・ジャズ(読み)フリージャズ

百科事典マイペディア 「フリー・ジャズ」の意味・わかりやすい解説

フリー・ジャズ

モダン・ジャズ発展過程に現れた,原点回帰的発想を伴った演奏形態。アルト・サックス奏者O.コールマンの革新的活動によるところが大きく,1950年代後半から一部の急進的な演奏家と聴衆支持を受けた。ハーモニーアンサンブルといった既存の音楽理論を放棄し,音楽表現をより原始的な衝動として行うことを目指した。定型化した演奏のスタイルは認められず,理念としての性格が強い。大衆性を欠いた難解さのために,1970年代を待たずして米国では下火となった。むしろヨーロッパで受け入れられ,ジャズやクラシックの演奏家を触発している。
→関連項目ジャズ

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デジタル大辞泉プラス 「フリー・ジャズ」の解説

フリー・ジャズ

サックス奏者、オーネット・コールマンの1960年録音のジャズ・アルバム。アトランティック・レーベル。ダブルカルテットによる同時演奏で、フリー・ジャズ・スタイルを確立した作品原題FREE JAZZ》。

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世界大百科事典(旧版)内のフリー・ジャズの言及

【コールマン】より

…しかし60年代の中ごろ,ブラック・パワーの高揚によって,ヨーロッパ音楽の基準では律せられぬ黒人音楽のルーツが解明されるにつれ,だんだんと正当な評価を得るようになった。彼はアルト・サックスのほかトランペット,バイオリンも演奏するが,従来の奏法にとらわれぬ自由な表現と強烈な訴えかけは,音楽世界に新次元を開いたものととらえられ,ゲットーの黒人やヨーロッパのジャズメンが演じた60年代フリー・ジャズの出発点となった。主要作品に《ジャズ来るべきもの》(1959),《ゴールデン・サークル》(1965)がある。…

【ジャズ】より

…そして彼らは音楽的な束縛をかなぐり捨て,騒音に近い自由な演奏に熱中するようになった。これをフリー・ジャズfree jazzと呼び,オーネットはその開祖とされている。しかし70年代初め,フリー・ジャズはオーネットを遠く離れ,暴走していったのである。…

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