フランス石油会社(読み)フランスせきゆ(英語表記)Cie.Française des Pétroles

改訂新版 世界大百科事典 「フランス石油会社」の意味・わかりやすい解説

フランス石油[会社] (フランスせきゆ)
Cie.Française des Pétroles

フランスの国策石油会社(1984年現在35%政府出資)で,TOTALのブランドで知られる。略称CFP。本社パリ。第1次大戦後フランスが入手したメソポタミアにおける旧ドイツ利権地域の開発のため,1924年に設立された。イラク,アブダビ,カタルなど中東諸国のほか,チュニジア,アルジェリア,北西アフリカの旧フランス領でも石油の開発・生産に参加。一方,下流部門(精製)でも29年にフランス石油精製会社Cie.Française des Raffinage(略称CFR)を設立するなど,上流部門探鉱・開発,採掘)から下流部門まで国際的垂直統合経営を行い,しばしば〈8番目のメジャー〉といわれてきた。73年の石油危機以降の原油価格上昇,産油国の国有化などの動きはCFPにも大きな影響を与えた。82年の原油取扱量は89万バレル/日,石油精製量は64万バレル/日で,石油危機前の1972年に比べ3~4割減となっている。しかも産油国の国有化などのため,低コストの自社生産原油が同期で125万バレルから28万バレルに激減している。91年社名をトタルTotal SAに変更。翌92年民営化された。99年ベルギーのペトロフィナ社,エルフ・アキテーヌ社と合併し,トタル・フィナ・エルフ社Total Fina Elf SAと改称したが,のちトタルの旧称に復した。売上高1227億ユーロ(2004年12月期)。
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