フランス共和政(読み)フランスきょうわせい

旺文社世界史事典 三訂版 「フランス共和政」の解説

フランス共和政
フランスきょうわせい

【第一共和政】1792〜1804 フランス革命のとき,1792年国民公会において王政廃止・共和政樹立が宣言されて成立
【第二共和政】1848〜52 二月革命によって成立
【第三共和政】1870〜1940 普仏 (ふふつ) 戦争の結果,1870年ナポレオン3世が退位して第二帝政は崩れ,第三共和政が成立
【第四共和政】1946〜58 第二次世界大戦後の1946年,共産党,人民共和運動,社会党3党により第四共和政憲法成立
【第五共和政】1958年10月〜   ド=ゴール内閣が起草し,国民投票により第五共和政憲法が成立
総裁政府・執政政府をへて,国民投票の結果,1804年ナポレオン(1世)が帝位につくまでをいう。
ブルジョワ共和派と社会主義派が対立し,普通選挙の結果,ブルジョワ共和派が勝利を占め,一院制議会・大統領制の第二共和政憲法が成立してルイ=ナポレオン(3世)が大統領となった。彼は,1851年クーデタにより大統領任期を10年とし,52年国民投票によって帝位につき,第二共和政は崩壊した。
普仏戦争の敗北,パリ−コミューンの乱,王党派の進出など困難な状況の中で,1875年二院制議会・責任内閣制・大統領制の第三共和政憲法が成立。共和派が政権を握り,ブーランジェ事件・ドレフュス事件などの危機を切りぬけたが,小党が分立して政情不安を続け,第二次世界大戦に敗北し,ヴィシー政府の成立で崩壊した。
人民投票制・二院制議会・責任内閣制・大統領制が特徴。発足以来,小党が分立して中道連立内閣の交代が続き,経済復興・植民地政策・外交政策が不徹底で政局が動揺し,アルジェリア問題から軍部のクーデタが起こって崩壊した。
大統領は任期7年で,首相の任命,議会の解散,軍の総司令官,非常時の特別権限などの大きな権限をもつ。1959年1月ド=ゴールが大統領となり,アルジェリア問題の解決,フランス独自の核武装を主張し,西ドイツとともにヨーロッパ経済共同体(EEC)の中心勢力となった。また,米・ソの間に立ってヨーロッパの自主権を主張し,強硬な外交を展開した。大統領は1969年ポンピドゥー,74年ジスカール=デスタン,81年ミッテラン,95年シラクと続く。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報