フラットヘッド族(読み)フラットヘッドぞく(英語表記)Flathead

翻訳|Flathead

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フラットヘッド族」の意味・わかりやすい解説

フラットヘッド族
フラットヘッドぞく
Flathead

カナダ,ブリティシュコロンビア州フレーザー川,コロンビア川流域を中心に,アメリカ北西部,ワシントンアイダホ,モンタナ各州の高原地帯にかけて居住するアメリカインディアンの総称。言語的にはサリシュ語族に属し,内陸サリシュ (→サリシュ族 ) とも呼ばれる。「フラットヘッド」という呼称は,ほかの民族を捕虜にして奴隷とし,その赤ん坊の額に板をあてて平らに変形させた風習に由来する。西部に住む集団は,冬期には川辺にむしろをふいて土を盛った半地下 (竪穴) 式の住居に住んで漁労を行い,夏期にはテントで移動しながら狩猟採集を行なった。高原地帯西部の集団は,沿岸サリシュの文化・社会との間に多くの類似点が認められる。高原地帯東部の集団は,平原インディアンの文化の影響が大きく,ティピー (テントの1種) に住み,バイソン猟を中心に行い,貴族,平民,奴隷から成る階層社会を形成。隣住する集団を襲ってウマを盗む習慣も相似している。 1872年モンタナ州北西部にある指定居留地に強制移住させられた。

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世界大百科事典(旧版)内のフラットヘッド族の言及

【アメリカ・インディアン】より

…コロンビア川,フレーザー川の上流には季節的にサケがさかのぼる。ネズ・パース族,フラットヘッド族,クテナイ族などの原住民は,この乾燥草原地帯や山麓地帯で,野生植物の種子の採集やビーバー,ヤギ,オオシカなどの狩猟,季節的にサケの漁労に従事してきた。
[南西部文化領域]
 この文化領域はメキシコ北西部(チワワ,ソノラ)とアメリカ合衆国のアリゾナ,ニューメキシコ両州,コロラド,ユタ両州の南部からなり,コロラド川,リオ・グランデ川の上流域にあたる。…

【身体変工】より

…頭部に施される狭窄はとくに〈頭蓋(とうがい)変工〉と呼ばれ,幼児期からの頭部の緊縛によって,最終的に頭蓋が扁平な形や細長い形に変形されるものである。アンデス文明やマヤ文明での板や添木による頭蓋変工,扁平な頭の形をとって命名されたフラット・ヘッド(平頭)族をはじめとする北アメリカのインディアンの頭蓋変工などが有名だが,そのほか東南アジア,アフリカ,ヨーロッパなど世界各地で頭蓋変工が報告されている。(5)歯牙変工 特定の歯を抜く抜歯と,歯を削ってとがらせたり,刻み目を入れたりする尖歯(せんし),あるいは欠歯がそのおもなものである。…

※「フラットヘッド族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」