ピリン系薬剤(読み)ピリンけいやくざい

精選版 日本国語大辞典 「ピリン系薬剤」の意味・読み・例文・類語

ピリンけい‐やくざい【ピリン系薬剤】

〘名〙 (ピリンはpyrine) 解熱剤鎮痛剤などとして用いられるピラゾロン系の薬剤一群アミノピリンアンチピリンスルピリンなど。発疹アレルギーなどの副作用があり、欧米では使用禁止。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピリン系薬剤」の意味・わかりやすい解説

ピリン系薬剤
ぴりんけいやくざい

主としてピラゾロン系解熱鎮痛・消炎剤をいう。アミノピリンが代表的薬物で、このほかに、アンチピリン、イソプロピルアンチピリン、スルピリン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ケトフェニルブタゾン、クロフェゾンなどがある。

 ピリン系薬剤の特徴は、効果も大であるが副作用として過敏症、発疹(ほっしん)、アレルギーなどが多くみられることで、かつては解熱・鎮痛剤としてかぜ薬に繁用され、一般用薬のかぜ薬はピリン系と非ピリン系に分類されていた。しかし、アミノピリンは実験的に亜硝酸と反応して発癌(はつがん)物質であるジメチルニトロソアミンを生成し、この反応が動物の消化管中でもおこることがわかり、欧米ではもはや使用されておらず、日本でもアミノピリンの一般用医薬品への使用が禁止され、かぜ薬も非ピリン系のみとなった。なお、イソプロピルアンチピリンやスルピリンについては発癌性の報告はない。また、アスピリンはアセチルサリチル酸製剤で、ピリン系薬剤ではない。

[幸保文治]

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