亜硝酸(読み)アショウサン

化学辞典 第2版「亜硝酸」の解説

亜硝酸
アショウサン
nitrous acid

HNO2(47.01).純粋な液体または固体は得られていない.気体は,

2HNO2 H2O + NO + NO2

の平衡状態にある.希薄な水溶液は比較的安定である.亜硝酸銀塩酸,または亜硝酸バリウム硫酸との反応によってつくられる.HNO2気体分子は,H-O-N-O型構造.∠H-O-N,∠O-N-Oは,各102°と111°で,シス,トランス両形があるが,トランス形のほうがより安定である.水溶液は弱酸性(pKa 3.3(291 K))で徐々に分解する.

3HNO2 → HNO3 + H2O + 2NO

アルカリ金属,アルカリ土類金属およびアンモニウムの塩は得られるが,アルミニウムの塩は得られない.アルコールと安定なエステルをつくる.ある種のアルキルエステルは血管拡張剤として医薬品に用いられる.[CAS 7782-77-6]

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日本大百科全書(ニッポニカ)「亜硝酸」の解説

亜硝酸
あしょうさん
nitrous acid

窒素のオキソの一つ。水溶液および蒸気としてだけ存在する。化学式HNO2 式量47.02。気体分子はHONOの折れ線型構造。水溶液は弱い一塩基酸で、亜硝酸バリウムと希硫酸、亜硝酸銀と塩酸などを低温水溶液中で反応させ、沈殿を濾別(ろべつ)して水溶液として、または一酸化窒素と二酸化窒素の等容混合物を氷水に溶かして得られる。温めると一酸化窒素と硝酸を生ずる(可逆反応)。酸化剤としても還元剤としても働く。強い酸化剤によって硝酸に酸化され、ヨウ化物によって一酸化窒素に、二酸化硫黄(いおう)によってヒドロキシルアミンに、また亜鉛によってアンモニアに還元される。亜硝酸は有機アミンと反応させてジアゾニウム塩の合成に用いられる。

[守永健一・中原勝儼]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「亜硝酸」の解説

亜硝酸
あしょうさん
nitrous acid

化学式 HNO2 。無機亜硝酸塩に酸を作用させて得られるが,溶液中でのみ存在する淡青色の弱酸。水中では迅速に酸化窒素と硝酸に分解する。

3HNO2→2NO+H3O++NO3-

リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウムストロンチウム,バリウム,銀と安定なをつくり,またアルコール類と反応しエステル RONO (Rはアルキル基) を形成する。芳香族第一アミン ArNH2 と無機酸 HXの水溶液を冷却して,NaNO2 水溶液を加えると,ジアゾニウム塩 ArN2+X- を生じる。この塩は脂肪族第一アミンの場合は非常に不安定で,ただちに分解し窒素ガスを発生するが,芳香族第一アミンの場合はやや安定であり,種々の芳香族化合物合成の中間体として利用される。

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精選版 日本国語大辞典「亜硝酸」の解説

あ‐しょうさん ‥セウサン【亜硝酸】

〘名〙 水溶液としてだけ存在する弱い一塩基酸。化学式 HNO2 亜硝酸塩を酸で分解して得られる。反応性が大きく、酸化、還元の両作用がある。空気酸化によって容易に硝酸になる。
※舎密開宗(1837‐47)内「亜消酸一分を取て少許宛、水二分に滴和す」

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百科事典マイペディア「亜硝酸」の解説

亜硝酸【あしょうさん】

化学式はHNO2。水溶液としてのみ存在する一塩基酸。亜硝酸塩の希水溶液に冷却しながら酸を加えるか,硝酸に一酸化窒素を通じて得られる。無色。あたためると分解し,空気によって酸化されて硝酸となる。酸化作用と還元作用をもつ。

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栄養・生化学辞典「亜硝酸」の解説

亜硝酸

 HNO2 (mw47.01).弱酸性の液体.不安定な酸で,アミンと反応してヒドロキシ化合物を作るため変異原性がある.

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デジタル大辞泉「亜硝酸」の解説

あ‐しょうさん〔‐セウサン〕【亜硝酸】

水溶液としてだけ存在する弱酸。分解しやすく、加熱すると一酸化窒素を発生して硝酸になる。化学式HNO2

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世界大百科事典 第2版「亜硝酸」の解説

あしょうさん【亜硝酸 nitrous acid】

希薄な溶液状態でのみ知られる一塩基酸。化学式HNO2。亜硝酸バリウムに硫酸を加え,沈殿する硫酸バリウムを濾別すると得られる。 Ba(NO2)2+H2SO4―→2HNO2+BaSO4↓(固体)また,硝酸に一酸化窒素を作用させても得られる。弱酸で,解離定数K=6×10-6(25℃)。亜硝酸水溶液は不安定で,加熱すると次のように急激に分解する。酸化,還元の両作用を有し,たとえば酸性水溶液中でヨウ化物イオンIと反応してヨウ素I2を遊離し(酸化作用),過マンガン酸塩には逆に酸化されて硝酸イオンNO3となる。

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