ビワモドキ(英語表記)Hondapara
elephant apple
Dillenia indica L.

改訂新版 世界大百科事典 「ビワモドキ」の意味・わかりやすい解説

ビワモドキ
Hondapara
elephant apple
Dillenia indica L.

ビワモドキ科の常緑高木。ビワに似た厚い大きな葉を茂らせ,白色ツバキに似た大きな花を咲かせる。茎は多くの枝に分かれて広がり,高さ10mほどになる。葉は枝の先のほうに集まってつき,倒広披針形で,とがった鋸歯があり,長さ20~30cm,平行に走る側脈が明らかである。花は葉のわきに単生し,径15cmほどで香気がある。5枚の肥厚した萼片が花を包み,花弁は5枚。多数のおしべが塊状に集まって花柱をおおう。果実球形で,多肉質になった萼片に包まれ,径10cmほどあり,その中の果肉酸味の強いゼリー状の粘液で満たされている。インドからマレー半島にかけて野生するが,広く熱帯に栽培される。葉や花が美しいので,庭園樹として利用される。果実を包む萼片は生食したり漬物とし,果肉は清涼飲料とする。材は硬く耐水性があるので,細工物やボートの製作などに使う。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビワモドキ」の意味・わかりやすい解説

ビワモドキ
びわもどき / 枇杷擬
[学] Dillenia indica L.

ビワモドキ科(APG分類:ビワモドキ科)の果樹。インド、ミャンマービルマ)、タイ、マレーシア地方に分布し、高さ約10メートル。花は白く、径約20センチメートル、花柄は数センチメートルで細毛がある。果実は球形で径約15センチメートル。瓦(かわら)重ね状に密接した萼片(がくへん)が肥厚して心皮を包んだもので、心皮部は粘質物を含み、多数の種子がある。肥厚した萼片は肉質多汁で酸味があり、生食のほか、ジャム、ゼリー、清涼飲料に用いる。また、熟果、未熟果とも野菜として用いる。名は、葉がビワに似るが、大形であることによる。

[飯塚宗夫 2020年12月11日]

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