ヒドロキシケイ皮酸(読み)ヒドロキシケイヒサン

化学辞典 第2版 「ヒドロキシケイ皮酸」の解説

ヒドロキシケイ皮酸
ヒドロキシケイヒサン
hydroxycinnamic acid

o-ヒドロキシケイ皮酸(o-hydroxycinnamic acid):C9H8O3(164.16).(E)-体はクマル酸(coumaric acid),(Z)-体はクマリン酸(coumarinic acid)ともよばれる.クマル酸はラン科の植物の葉に存在し,クマリンアルカリ加水分解すると得られる.針状結晶.分解点208 ℃.pKa 4.61.エタノール,熱水可溶.クマリン酸は不安定で,希酸と煮沸すると容易にクマル酸にかわる.また,クマリン酸は容易に分子内脱水してクマリンとなる.クマル酸も塩酸と加熱すると,同様に変化する.[CAS 495-79-4:クマリン酸((Z)-体)]【m-ヒドロキシケイ皮酸(m-hydroxycinnamic acid):アクロイドゴム中に存在する.(E)-体は,融点191 ℃.pKa 4.44.(Z)-体は,融点109~110 ℃.[CAS 588-30-7:クマリン酸((Z)-体)]【p-ヒドロキシケイ皮酸(p-hydroxycinnamic acid):キササゲ属植物の葉に存在し,茶,リンゴなどの葉中には,そのキナ酸エステルとして含まれている.(E)-体は,融点233 ℃.冷水からは一水和物,熱水からは酸無水物が晶出する.エーテル,熱エタノールに可溶.pKa1 4.64,pKa2 9.45(25 ℃).(Z)-体は,分解点134~134.5 ℃,124 ℃ で昇華する.[CAS 4501-31-9:クマリン酸((Z)-体)]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android