パチェーコ(英語表記)Francisco Pacheco

改訂新版 世界大百科事典 「パチェーコ」の意味・わかりやすい解説

パチェーコ
Francisco Pacheco
生没年:1564-1654

スペイン画家サンルカル・デ・バラメダに生まれ,セビリャで没。司祭で人文主義者であった叔父に育てられ,絵を学んだ後,フランドルに旅し,セビリャで画家となる。16世紀ローマ派の巨匠たちを礼賛するマニエリストで,晩年は初期バロックの明暗法を感じさせる写実主義に進み,多くの宗教画,肖像画を描いた。ベラスケスの師で義父,異端審問所の絵画審査官でもあった。《絵画論》(1649)を著し,17世紀の宗教図像解釈に大きな影響を与えた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「パチェーコ」の意味・わかりやすい解説

パチェーコ

スペインの肖像画家,宗教画家。サン・ルカル・デ・バラメダ生れ。イタリア芸術の影響の濃い,いわゆるロマニスムの画家で,ベラスケスの師,義父。著書《絵画論》(1649年)は美術史上重要な文献であり,〈無原罪の御宿り〉の図像を決定するなど同時代の画家に与えた影響は大きい。代表作は《ミゲール・デル・シッドのいる無原罪の御宿り》(1617年ころ,セビリア大聖堂蔵)など。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報