パウルス(Julius Paulus)(読み)ぱうるす(英語表記)Julius Paulus

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

パウルス(Julius Paulus)
ぱうるす
Julius Paulus

2世紀終わりから3世紀初めのローマの法学者。生没年不詳。ウルピアヌスとともにカラカラ帝の顧問会の一員となり、最高の官職である近衛(このえ)都督praefectus praetcerioとして活躍し、古典法学の最後を飾った。精緻(せいち)な理論を展開した古典盛期の法学者たちの学説を集大成し、『解答録』Responsa、『質疑録』Quaestiones、『法学提要Institutiones、『サビーヌス注解』Ad Sabinum、『告示注解』Ad Edictum、『法範』Regulaeなど80を超える著作を残している。彼の手法はどちらかと言えば批判的傾向が強いといわれる。彼のものとされる『断案録』Sententiaeは数種伝えられ、法の卑俗化研究の重要な史料となっている。

[佐藤篤士]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例