バッラ(Lorenzo Valla)(読み)ばっら(英語表記)Lorenzo Valla

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バッラ(Lorenzo Valla)
ばっら
Lorenzo Valla
(1407ころ―1457)

ルネサンス期イタリアの哲学者、文献学者。歯に衣(きぬ)を着せぬ批判で多くの敵をつくり、波乱生涯を送った。地上快楽は究極的なそれ、つまりキリスト教徒としての天上至福に従属させるべきとしながらも、自然は神の御業(みわざ)であり、自然な生き方つまり地上で肉体の快楽を享受するのも人間の務めだと快楽主義を肯定した(『快楽論』1431年刊)。また、ラテン語、ギリシア語を歴史的、批判的に追究し、ことばの真の意味を把握すべきであり、それにより、ことばが伝える歴史の真の姿に迫ることが可能だとした。この理論を応用し、教会の世俗所有権の根拠となっていた「コンスタンティヌス帝の寄進状」(コンスタンティヌスの定め)が偽書であることを証明した。

[在里寛司 2015年10月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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