ナルマダー川(英語表記)Narmadā River

改訂新版 世界大百科事典 「ナルマダー川」の意味・わかりやすい解説

ナルマダー[川]
Narmadā River

インド中央部を約1300kmにわたって西流する川。北インドと半島部インド(または南インド)とを分かつ境界として重要。インド半島が中生代白亜紀に隆起した際に生じた東西に細長い地溝内を流れ,北側をビンディヤ山脈,南側をサトゥプラー山脈が並走する。水源はマディヤ・プラデーシュ州マイカラ山脈にあり,ジャバルプル市付近からはアラビア海のカンバト(キャンベイ)湾に向かってほぼ直線状に西流する。グジャラート州に入ると,肥沃平野をつくり,川幅も1~1.5kmと広がる。河口付近は三角江となっており,バルーチ市が発達する。古来,アラビア海からガンガーガンジス平原に通じる交通路として重視され,現在,中流の谷をムンバイー(旧ボンベイ)~アラーハーバード間の幹線鉄道が走っている。中流部のホーシャンガーバード市近くでタワ総合開発計画など,いくつか重要な河川開発が進められている。
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世界大百科事典(旧版)内のナルマダー川の言及

【大天】より

…サンスクリットでマハーデーバMahādevaという。アショーカ王の子マヒンダ(前3世紀)の師で,アショーカ王が師のモッガリプッタ・ティッサの提唱にしたがい,インド各地に仏教伝道師を派遣したとき,マヒサマンダラMahisamaṇḍala(ナルマダー川の南方あたり)に赴いたとされる。彼は大衆部に近い思想をもっていたので,彼の弟子たちは大衆部の一支派である制多山(せいたせん)部を形成したという。…

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