日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナポレオン(映画)」の意味・わかりやすい解説
ナポレオン(映画)
なぽれおん
Napoléon
フランス映画。1927年作品。『鉄路の白薔薇(ばら)』(1927)で知られるフランスのアベル・ガンス監督が、D・W・グリフィスの『国民の創生』(1915)に影響を受けてつくった歴史大作。当初はナポレオンの全生涯を描く全6部の映画が企画されたが、資金不足もあってイタリア征服までの第1部のみ映画化された。サイレント末期のモンタージュ技法を駆使した迫力ある画面構成で、最後の部分には3面スクリーンを使った。主演はアルベール・デュードネAlbert Dieudonné(1889―1976)。1927年にパリのオペラ座で、アルチュール・オネゲルの音楽により5600メートル(4時間10分)のバージョンが初公開された。その後1935年の音声バージョンなど、監督の手で複数のバージョンがつくられた。1980年にイギリスの映画史家ケヴィン・ブラウンロウKevin Brownlow(1938― )が5時間近いバージョンを復元し、フランシス・F・コッポラが再編集した後、父カーマイン・コッポラCarmine Coppola(1910―1991)作曲による音楽を生演奏でつけてニューヨークほか各地で上映した。これは日本でも1982年(昭和57)に上映された。
[古賀 太]