ナショナル・ミニマム(読み)なしょなるみにまむ(英語表記)national minimum

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナショナル・ミニマム」の意味・わかりやすい解説

ナショナル・ミニマム
なしょなるみにまむ
national minimum

国家社会保障その他の施策を通して、すべての国民に対して保障する「最低生活基準」をいう。イギリスウェッブ夫妻によって提唱され、『ビバリッジ報告』(1942)において社会保障の具体的な政策目標として設定された。日本でも、行政重点住民関心が生活や福祉をめぐって展開されるようになってくると、それらの現状水準、さらには目標や計画の到達の度合いなどを、客観的、科学的に把握したり、位置づけをしたり、比較をするという試みや動きがいくつかの方面から出されるようになり、それらとの関連で、ナショナル・ミニマム、シビル・ミニマム、コミュニティ・ミニマムなどへの関心や作成の動きがみられるようになってきている。

[園田恭一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナショナル・ミニマム」の意味・わかりやすい解説

ナショナル・ミニマム
national minimum

国民最低限,あるいは国民生活環境最低基準と訳される。本来は 1942年のベバリッジ報告で示された社会保障計画の基本原則の一つ。その内容は均一額の最低生活費の給付は,国民の最低生活ニードに対応するナショナル・ミニマムを満たすものでなければならないというものである。しかし,日本においては最低限の社会保障に加え,一国全体の国民の生活福祉上欠くことのできない生活環境施設の最低整備水準という意味を含めて,国がなすべき政策公準として示されるものという拡大解釈がなされている。また地方自治体の掲げるシビル・ミニマム,地域社会づくりの基準としてのコミュニティー・ミニマムなども近年主張されている。

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