ドチリナ・キリシタン(読み)どちりなきりしたん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドチリナ・キリシタン」の意味・わかりやすい解説

ドチリナ・キリシタン
どちりなきりしたん

キリシタン版」の一種。日本語であるがローマ字本と国字本おのおの2種類が現存している。初版本は1592年(文禄1)に天草(あまくさ)(熊本県)のイエズス会学院において、ローマ字本で出版された。ドチリナ・キリシタンとはキリスト教教義の意味で、キリシタンの布教事業にあたっては、もっとも必要な書物であり、宣教師たちはザビエル以後、信徒協力を得て、しだいに教義書として整ったものへとまとめあげたのである。

松田毅一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「ドチリナ・キリシタン」の解説

ドチリナ・キリシタン

キリシタン教理の入門書「Doctrina Christão」。1549年(天文18)のザビエルによる伝来以来,教理書邦訳の試行錯誤なかでキリシタン版として出版された。91年(天正19)加津佐(かづさ)刊の国字本,92年(文禄元)天草刊のローマ字本,1600年(慶長5)長崎刊の国字本とローマ字本の改訂版がでている。師弟の問答形式で基本的なキリシタン教義がわかりやすく説かれている。「日本思想大系」所収

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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