トルストイ(Aleksey Nikolaevich Tolstoy)(読み)とるすとい(英語表記)Алексей Николаевич Толстой/Aleksey Nikolaevich Tolstoy

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

トルストイ(Aleksey Nikolaevich Tolstoy)
とるすとい
Алексей Николаевич Толстой/Aleksey Nikolaevich Tolstoy
(1883―1945)

ロシアの作家、最高会議議員、アカデミー会員。1882年(旧暦12月28日、新暦では83年1月9日)サマラ県ニコラエフスク市で伯爵家に生まれる。『奇人たち』(1911)、『びっこ公爵』(1912)などで零落する地主貴族の生活を描く。革命後1923年まで亡命。『ニキータの少年時代』(1922)その他を国外で発表。ソ連に帰国後、『アエリータ』(1924)、『技師ガーリンの双曲線』(1926)で文名を確立。1919年パリで書き始め、41年に完成した三部作『苦悩の中を行く』は革命前、革命期、国内戦と三つの時期を生き抜いた知識人の運命を描き出した長編である。未完の歴史小説『ピョートル1世』(第一巻1929、第二巻1934、第三巻1944)は豊富な史実を踏まえた記念碑的な作品で、未完とはいえ、この作家の最高の傑作といってよい。

[原 卓也]

『原卓也訳『びっこの公爵』(『ロシア文学全集13』所収・1957・修道社)』『原子林二郎訳『ピョートル大帝』全2冊(1940・鱒書房)』

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