デッケン構造(読み)デッケンこうぞう

百科事典マイペディア 「デッケン構造」の意味・わかりやすい解説

デッケン構造【デッケンこうぞう】

押しかぶせ構造とも。押しかぶせ断層によってほとんど水平な断層面上を移動した岩体または横臥(おうが)背斜をなす岩体が重なり合っている地質構造。この場合,個々の岩体をデッケといい,重なり合ったデッケのうち上位のものは下位のものより本来は遠い場所にあったものである。アルプスに著しく発達し,ヘルベチア帯とペンニン帯では北に向かっての横臥背斜が重なり,東アルプスでは北への押しかぶせ断層によるデッケがみられる。水平移動距離は,アルプスやヒマラヤでは100kmを超える場合もあるという。日本では夕張山地や群馬県下仁田町周辺などに知られている。
→関連項目アルプス[山脈]クリッペ佐川造山運動地窓

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世界大百科事典(旧版)内のデッケン構造の言及

【アルプス・ヒマラヤ地帯】より

… これらの山脈は,よく連続した山脈系であり,いずれも第三紀中ごろ以後に隆起して山地となっているなどの著しい共通性がある。たとえばアルプス山脈では,中・古生界の海成層とその変成岩類,これらを貫く花コウ岩類などが,著しく褶曲して折りたたまれたようになったデッケン構造Deckenstrukturをつくっている。褶曲した地層のうち最も若いものは古第三系で,新第三系は山脈の周辺に厚い陸成のレキ岩などとして分布する。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」