ディオニシオス(古代ギリシアの歴史家)(読み)でぃおにしおす(英語表記)Dionysios Halikarnasseus

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ディオニシオス(古代ギリシアの歴史家)
でぃおにしおす
Dionysios Halikarnasseus

生没年不詳。古代ギリシアの修辞学者、歴史家。小アジアのハリカルナッソス出身。紀元前30年から長くローマで教鞭(きょうべん)をとり、ローマ建国からポエニ戦争(第1回)に至る『ローマ史』を前7年から公にした。全20巻のうち初めの10巻と、その他の巻の断片が現存する。彼はかつてアテネが繁栄を極めたころのアッティカ方言である古典ギリシア語を、書きことばとして復活させようとする復古運動の最初の代表者で、自らそれを実行した。その範としたのはデモステネスで、この弁舌家を含めた『古代弁舌家論』を著し、また『トゥキディデス論』によってその難解な文章を内容と文体の面から分析している。また『統語論』は豊富な文学作品からの引用を交えながら、文における語の選択と配置、文のリズムとさまざまな表現の技巧を論じたもので、アリストテレスの『修辞学』に精通した著者の貴重な文体論である。

[風間喜代三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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