ティーレ(Friedrich Karl Johannes Thiele)(読み)てぃーれ(英語表記)Friedrich Karl Johannes Thiele

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ティーレ(Friedrich Karl Johannes Thiele)
てぃーれ
Friedrich Karl Johannes Thiele
(1865―1918)

ドイツの有機化学者。ブレスラウハレの大学で学んだのち、ミュンヘンバイヤーのもとで化学助教授、ついでストラスブール大学化学教授となった。とくに共役二重結合について研究し、付加反応の説明として「部分原子価」を考えた。たとえば、1,3-ブタジエンでは、内側の2個の炭素原子間の部分原子価は相殺されるので、両端の炭素原子にのみ付加がおこるという。一方で、当時不飽和化合物と考えられていたベンゼンに付加反応がおこらないのは、環状であるため、すべての部分原子価が相殺されるからであるとした(1899)。彼の理論は不完全ではあるが、後の有機電子論に基づく反応機構解明の先駆となった。ほかには、窒素有機化合物の研究が重要である。

吉田 晃 2018年9月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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